めざせ、医療事務!どこで学ぶ?
  • 2024.11.27

 病院や診療所などの医療機関において、患者さんと最も身近に接する医療事務。てきぱきと仕事をこなす姿は格好良いですね。

 医療事務のお仕事は、病院や診療所に訪れる患者さんをサポートする医療機関の『顔』と言えます。

 しかし、医療事務のお仕事はそれだけではありません。医療事務は医療機関におけるあらゆる事務業務を担う『縁の下の力持ち』としても重要な役割を果たしているのです。

 では、医療事務になるためには何をすればよいのでしょうか? 今回の記事では、医療事務の仕事内容や実際にどこで学ぶのが良いのか、さらに医療事務の資格についても触れていきたいと思います。

 それでは「めざせ、医療事務!どこで学ぶ?」についてお伝えします。

目次

医療事務は何をしている?業務内容は?

 医療事務をめざすには、まず医療事務がどのようなお仕事をしているのかを知ることが必要です。
 よく見かける病院の窓口の受付業務や会計業務以外に、医療事務は病院内のさまざまな業務を行っています。

 では、実際どのような仕事をしているのでしょうか?
 医療事務は主に以下のような業務を行っています。
  • 受付業務
  • 会計業務
  • レセプト業務
  • クラーク業務
 あまり聞きなれない言葉も出てきたかと思います。それでは、それぞれ詳しく説明していきましょう。

受付業務

 こちらは最も身近で、よく見かける医療事務のお仕事です。

 来院した患者さんから保険証や診察券などを預かり、受付をします。
 初診の患者さんに診察券を発行したり、カルテに患者さんの個人情報を登録することも医療事務のお仕事です。
 
 病院や診療所には具合の悪い人だけでなく、お年寄りから赤ちゃんまでさまざまな患者さんが来院します。
 そのため、医療事務の受付業務には、通常の会社に勤務する一般事務よりもさらにレベルの高い応対やマナーが必要です。

 ただ業務をこなすだけではなく、患者さんや来院される方への配慮が求められるでしょう。
 

会計業務

 診察を受けた患者さんのカルテの内容から診療費を計算し、明細書を作成して支払いをお願いします。
 患者さんから医療費について質問された場合は、丁寧に答えることも医療事務の大切なお仕事です。
 会計業務に間違いがあると、患者さんだけでなく勤務する医療機関にも迷惑がかかるので、正確に行う必要があるでしょう。
 
 しかし、慎重になるばかりに作業に時間をかけすぎてしまうと、患者さんを長く待たせることになってしまいます。そのため、会計業務には正確さだけでなく、迅速さが求められます。
 
 近年は医療事務コンピュータや電子カルテなどが導入されている医療機関も多くあり、医療事務が煩雑な作業に悩まされることは今後少なくなってくるかもしれません。

レセプト業務

 レセプトとは「診療報酬明細書」のことです。
 日本では国民皆保険制度により、会計時に患者さんから受け取る診療費は一部のみです。残りの診療費は医療保険の保険者である自治体や保険組合に請求されています。その請求に必要な書類を『レセプト(診療報酬明細書)』と呼びます。
 
 そして、それを作成するのがレセプト業務です。レセプト業務を行うためには、医療制度などについての幅広い知識とスキルが必要になります。
 医療費の請求ができなければ、医師がいくら患者を診療をしても収入が入ってきません。収入がないと、医療機関の経営が成り立たなくなってしまいます。そのため、レセプト業務は医療事務における仕事の中でも、特に重要とされています。

クラーク業務

「クラーク(clerk)」は直訳すると事務員という意味です。医療事務での「クラーク」とは、医師や看護師のサポートをし、その業務を支える仕事のことをいいます。
 医療事務のクラーク業務としては大きく分けて二つの業務があります。
  • 外来クラーク業務
  • 病棟クラーク業務

■外来クラーク
 外来クラーク業務では、外来患者さんに関する事務業務を行います。
 規模の大きい病院では、初診や再診の受付とは別に診療科ごとの受付があります。
 外来クラークの業務は、医師や看護師と連携して外来患者さんの診察がスムーズに行えるようにサポートすることです。
 具体的には、外来患者さんを診察室へ案内したり、カルテの準備や受付での次回の診察予約などがあります。

■病棟クラーク
 病棟クラーク業務では、入院患者さんに関する事務業務を専門的に行います。
 入院病棟のナースステーションに常駐し、医師や看護師と一緒に働くことが多いため、より医療の現場に近い業務となるでしょう。
 多忙な医師や看護師を事務面からサポートするのが病棟クラークの業務です。
 具体的には、入退院の手続きやカルテ・食事の管理、さらには手術・検査スケジュールの管理、面会者の対応など、入院病棟に関する様々な事務をおこないます。

医療事務になるには?

 医療事務の主なお仕事内容について説明しました。どれも大変そうな業務ではありますが、とてもやりがいが感じられそうですね。
 では、どのようにすれば医療事務として働くことができるのでしょうか?
 また、医療事務になるために資格や免許は必要なのでしょうか? 詳しく見ていきましょう。
 

医療事務になるための方法

 医療事務として働く方法は、大きく分けて2つの方法があります。
  • 未経験でも就職できる医療機関を探す
  • 医療ビジネス系の学校に進学または通信講座を学ぶ
 それぞれの方法について説明していきます。

未経験でも就職できる医療機関を探す

 専門的な知識が必要に感じる医療事務のお仕事ですが、実は実務経験や専門知識がなくても働くことができます。基本的なパソコンの操作ができれば、医療事務の経験や知識がない人でも大丈夫という医療機関もあるでしょう。
 そのため、資格を取る時間やお金がかからないという点はメリットと言えるでしょう。

 しかし、求人の条件に合わず医療機関によっては応募できなかったり、採用に不利になることがあります。
 また、専門用語や医療に関する知識などが足りず、仕事を覚えることが大変なことはデメリットだと言えるでしょう。

医療ビジネス系の学校に進学または通信講座を学ぶ

 先程説明した通り、医療事務は未経験でも働くことができます。
 では、事前に専門知識や資格を取得することはあまり意味がないのでしょうか? 
 
 そんなことはありません。
 
 医療事務は幅広い年齢層から人気があり、勤務条件が良い就職先は競争率が必然的に高くなります。そのため、条件の良い医療機関での就職を希望する場合には、専門知識や資格を取得している方が有利になる事が多くあるでしょう。
 
 さらに、大学や短期大学の卒業という学歴が応募条件になっている医療機関もあります。大学や短期大学、専門学校への進学の最大のメリットは、より幅広い医療機関から自分が勤務する場所を選べることでしょう。
 
 デメリットとしては、知識を学ぶための時間や費用がかかることです。学校通信講座など医療事務について学べるところはたくさんあります。
  次は、実際にどこで学べばよいかについて説明していきます。
 

医療事務の知識、どこで学ぶ?

 医療事務をめざすにあたって、未経験でも働くことは可能ですが、学校や通信講座で学びを深めた方がより良い事がわかりました。
 ではどこで、どのように学ぶのが良いのでしょうか? 医療事務の勉強は大きく分けて以下の4つで学ぶことができます。
  • 大学
  • 短期大学
  • 専門学校
  • 通信講座
 この4つでは学び方や学べる内容、費用や期間にもに違いがあります。それぞれの違いについて説明していきましょう。 

大学

 大学で医療事務について学ぶ場合、医療もしくは福祉学部などを選択しましょう。その際、自分が学びたいと思うことをより深く学べる大学の学部や学科をしっかりと調べることをおすすめします。
 
 大学で医療事務を学ぶメリットは、4年間という長い時間を使って高度な医療事務職になれるよう、幅広い学習に取り組めることです。大学は高校までの教育とは異なり、必須科目や選択科目などのカリキュラムを自分で組み、自分の好きなことについて学ぶことができます。
 そのため、医療事務について深く学習をしながらも、頑張り次第では医療事務以外の分野についても教養を深めることができるでしょう。

 また、大学には勉強以外にもサークルや研究活動がたくさんあります。このようなコミュニティで、社交性や基本的な対人関係のやりとりを養うことが期待できるでしょう。
 
 デメリットとしては、学費が高額になってしまうことと卒業までに長い時間がかかること、主体的に学ぶ姿勢がないと授業についていけなくなる可能性があること等が挙げられます。
 

短期大学

 早い段階で医療事務という進路が決まっている場合や、早く働きたいと考える人は、短期大学を選択するのがおすすめです。
 
 短期大学=短大は基本的に2年制が多く、この期間に知識や技能を修得する必要があるため、学習ペースが比較的早く、短期間で様々な分野を学習することになります。
 
 基本的には大学と同様に必須科目や選択科目を自分で選び、自分でカリキュラムを組むことができます。短大では短い期間で教養分野と専門分野のバランスが取れた教育を受けることができる点がメリットと言えるでしょう。
 大学と同じようにクラブやサークルもあり、社交性や対人関係についても学ぶことができます。
 
 また、短大は女子短期大学があったり、女子学生の比率が高いところも特徴的です。そのため、女性が働きやすい職種をめざせる学科が多いことも特徴として挙げられるでしょう。
 
 大学と異なる点としては、どちらかといえば教育的観点よりも、実務的な内容を学ぶことが多くなります。言い換えれば、短期間で即戦力をめざせるとも言えるでしょう。
 
 デメリットとしては、短大の数が少ないため通える学校の選択肢が少ないこと、学習ペースが早いため大学よりさらに主体的に学ぶ姿勢が必要になることが挙げられます。
 最近では長期履修制度を導入し、2年制と同額の授業料で3年間学ぶことができる学校もありますので、自分のペースにあった学び方を選択することができます。参考:関西女子短期大学 医療秘書学科

専門学校

 短大同様、医療事務として早く活躍したいと考える人には、専門学校も選択肢の一つです。 
 
 専門学校では、医療事務の仕事の実務に必要な知識や技能を身につけるための実践的な教育を、短期間で受けられることがメリットと言えます。実務的な内容が多いため、資格習得が中心となる学校も多いでしょう。
 
 短大との大きな違いは、多くの学校で時間割が決められており、自分で授業の選択ができないことです。
 
 デメリットとしては専門分野について深く学ぶため、医療事務以外のことについて学ぶ機会が少なくなり、結果的に途中で進路を変更することが難しいことが挙げられます。
 また、長期休暇が大学や短大よりも少なく、スケジュールが忙しくなることもあるでしょう。

通信講座

 通信講座ではインターネットを使ったWeb講座やCD-ROM、DVDなどで勉強することができます。場所や時間にとらわれずに、自分の好きな場所、好きな時間に講座を受けることできる点がメリットといえるでしょう。

 反対に、対面での指導がないため不明点をなかなか解決できないことや、就職活動のサポートを受けにくいこと、目標をもって一緒に学習に取り組める仲間や友人を作ることが難しいというデメリットがあります。
 
 高校を卒業後にすぐに就職する必要があり、仕事をしながら医療事務の勉強をしたい人や短期間でスキルアップしたい人、資格取得をめざす方法としては有効でしょう。
 

医療事務に、資格や免許は必要?

 医療事務の仕事をするために資格や免許は必要ありません。 
 しかし、医療事務として活躍するには医療制度などに関する様々な専門知識が必要不可欠です。
 
 そのため、国家資格ではないものの、医療事務に必要な一定程度の知識を証明する民間の医療事務資格がいくつかあります。
 医療事務の民間資格の種類は4つほどありますが、今回はその中から2つご紹介いたします。
  • 「医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)」
  • 「医事コンピュータ技能検定」

「医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)」

 医療事務として働く人が持つべき知識と技能があることを証明する試験です。 
 一般財団法人日本医療教育財団が主催しており、45年以上もの歴史があることから、医療界からも信頼を得ていて、医療事務関連試験のスタンダードとして評価されています。
 
 レセプト請求についての事務技能だけではなく、窓口業務等に必要な患者さんとの接遇についての技能なども試験科目に採り入れられています。合格率は60%前後と難易度がそれほど高くなく、医療事務に従事する人の多くが受ける試験です。
 

「医事コンピュータ技能検定」

 医事コンピュータ技能検定は、医療事務の業務で必要となる知識と医事コンピュータの入力技能がどのレベルにあるか審査されます。
 近年では医療事務の殆どの業務でコンピュータが活用されています。医事コンピュータ技能検定の勉強をすることで、医療事務の仕事に役立つITスキルを身につけることができます。

まとめ

 いかがでしたか? 今回は「めざせ、医療事務!どこで学ぶ?」についてお伝えしました。
 医療事務のお仕事について、どのような仕事をしているのか、どこでどのように学べばよいのかについて説明しました。

 医療事務の主なお仕事については以下の通りです。 
  • 受付業務
  • 会計業務
  • レセプト業務
  • クラーク業務
 医療事務の勉強は以下の4つで学べることをお伝えしました。 
  • 大学
  • 短期大学
  • 専門学校
  • 通信講座
 また、医療事務の資格として2つ紹介しました。
  • 「医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)」
  • 「医事コンピュータ技能検定」
 日々刻々と変化する医療の現場では、医療事務のお仕事はまさに必要不可欠な存在です。業務は忙しいと思いますが、きっとそれ以上のやりがいを得られるお仕事と言えるでしょう。

 医療事務は医療関係者には珍しく、未経験でも挑戦できるお仕事です。
 しかし、知識をきちんと得てから向き合うと、即戦力として活躍できたり、お仕事についての理解が深まり重要性を感じられるでしょう。

 医療事務の働き方や学び方はご紹介した通り、たくさんの方法があります。ぜひ、自分に合った方法を見つけて、理想の医療事務をめざしてください!

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