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医療事務・医療秘書の将来性~AI発展社会で未来はあるの?~
  • 2023.10.27

CMでもおなじみの、車の自動運転や、エアコンの人を感知するセンサー、ゴミを検知して片付けてくれるお掃除ロボットの便利さ……。気づけば身近なところに、AI(人工知能)の活躍がある現代社会。近い将来は、今の仕事の90%が機械化される、そう聞いたことはありませんか?
希望の職業の将来性や、ロボットに仕事を奪われないか、不安になる方もいるかもしれません。
この記事では、「医療事務」や「医療秘書」をめざす皆さんに、医療事務・医療秘書の先行きがどうなるのか、詳しく説明していきたいと思います。

目次

医療事務・医療秘書に将来性はある!

最初にお答えします。医療事務・医療秘書の将来に見込みはあるか。
その答えは「イエス」です。将来性はあります。
その理由になるキーワードは2つあります。「超高齢化社会」と「臨機応変な対応」です。

超高齢化社会に、医療機関は必須!

「超高齢化社会」という言葉を、聞いたことがありませんか?

「超高齢化社会」とは、65歳以上の人口の割合が、全人口の21%以上を占めた社会のことです。実は日本は、2010年にはすでに、超高齢化社会に突入しています。2025年には、「国民の4人に1人が75歳以上」とも言われていて、道を歩けばお年寄りに行き当たる、そんな社会になっているかもしれません。

年を取ると体の機能が衰えます。段差で躓いて骨折したり、風邪を引きやすくなったり……。若いころと比べて、病院やクリニックのお世話になることがぐんと増えます。家族も、おじいちゃんおばあちゃんの健康に気を使って定期健診を勧めるでしょうし、子どもの出生率が低い時代ですから、介護の担い手がなくなれば、介護施設のお世話になることを考えるかもしれません。

つまり、高齢者が増え続ける現代日本で、医療機関は増えこそすれ、消えることはないのです。医療事務や医療秘書のお仕事も継続的な需要が見込まれるでしょう。

医療機関だけでなく、介護施設でも医療事務や医療秘書の知識は役立ちますし、その他、訪問介護ステーションや、企業内の診療所、医療健康センター、健康診断センターにも活躍の場が広がっています。

医療事務・医療秘書の未来には、臨機応変な対応が必要!

AIが得意とする仕事は、データ分析や処理です。人の手作業なら長時間かかるような細かい作業も、効率的にミスも少なくやり遂げます。また、人間とは違い、電気さえあれば動き、安上がりで疲れ知らずです。

実際の医療現場では、デジタル化が進んでいる業務がたくさんあり、大きな病院では電子カルテや自動精算機等の設置も一般的となりつつあります。膨大な情報の点検や、データの引き出しも、コンピュータを操作をすれば、それほど時間を要せず解決できてしまいます。

ここまで聞くと、「やっぱり将来はAIにのっとられてしまうのでは……」と不安になるかもしれません。でも、ご安心ください。医療事務や医療秘書には充分生き残りの道があります。それをご紹介する前に、「医療事務のお仕事」の内容を、ざっくりと説明しますね。

▶医療事務の仕事内容について詳しくみる
▶医療秘書の仕事内容について詳しくみる

医療事務の主な仕事

★受付
〇会計業務
〇レセプト作成・点検
〇カルテ管理 など

「レセプト」は、耳慣れない言葉だと思います。
医療機関で保険証を見せて診療を受けた場合、医療機関が診療代を請求する先は、

1.患者本人
2.保険者(保険組合など)

と、2つに分かれます。2つ目の「保険者」に請求する明細書が「レセプト=診療報酬明細書」です。

医療事務の仕事は、事務だけではない!

先頭に「〇」のあるお仕事は、事務作業に当たります。先に挙げたAIの発展で、電子化・機械化が進みやすい業務と言われています。
先頭に「★」のある受付業務こそ、人の手が必要とされる、医療事務に欠かせないお仕事です。

受付は、患者さんが病院やクリニックでまず初めに訪れる場所です。つまり、医療機関の顔ともいえます。例えば、病気で熱が出て辛いときに、

1.機械を操作し、自分で受付をする
2.受付の人に診察券や保険証を出す

あなたならどちらがいいですか?

口も利きたくない場合は、機械相手でも都合はいいですが、仮に操作方法がわからなかったり、自分の病状がつかめなかったり……。そもそも何課に行けばいいか迷ってしまう。そんな困った状況になる可能性があります。年齢を重ねていたり、熱が出てしんどい状況ならなおさら、機械の操作に戸惑う場面もあるでしょう。

体調が悪く、精神的にも不安な中、受付の人が「どうされました?」「具合はどうですか?」など笑顔で声をかけてくれたら、それだけで安心することもあるでしょう。人間とAIの差は「思いやり・気配り」ができるかどうかにあります。

中には業務を機械化している病院もありますが……。緊急性のある患者さんには受付の順番を変更したり、質問にこたえたり、「臨機応変な対応」をしなければ、訪れた人の不安を和らげることはできません。

先に挙げた電子化が進むレセプト業務であっても、機械的に処理した際には請求できないと判断されている内容でも、医師や看護師が書いたコメントを確認することで、きちんとした診療報酬を請求できることもあります。単純作業の機械化が進んでも、最終判断は「人の目」が必要とされるのです。

将来性のある医療事務・医療秘書は、人気の職業!

現代日本の超高齢化社会において、臨機応変な対応が求められる医療事務・医療秘書は、将来性のあるお仕事ですが、将来性以外にも2つ、人気の理由があります。
  • ワークライフバランスが実現しやすい
  • 求人数が多い

ワークライフバランスが実現しやすい

医療事務のお仕事は、他の職業に比べ、勤務時間の変動が少ないと言われています。小さなクリニックなどは例外もありますが、たいていは医療機関の休日に合わせて、スケジュールが組めるので、お仕事とプライベートのバランスが取りやすいです。結婚、妊娠、出産と、男性に比べると私生活に変化が起こりやすい女性には特に、人気の職業です。

雇用形態も、「正社員」「パート」「派遣」などさまざま。生活に合わせて、働き方が選べる柔軟性があるのも、人気の理由ですね。

求人数が多い

医療事務の人気が高い理由として、求人数の多さも挙げられるでしょう。
全国の医療機関の数は、日本中にあるコンビニエンスストアの2倍以上あると言われており、求人数も多い傾向にあります。

また、現代日本の超高齢化社会においての需要だけでなく、医療機関は景気の影響を受けにくいことから、安定した職種として人気であり続けると言えるでしょう。

将来性のある仕事、医療事務・医療秘書に就くにはどうすればいい?

資格を取ろう!

医療事務・医療秘書になるということだけであれば、実は資格は必要ありません。
しかし、総合病院や大学附属病院、人気の求人であれば「実務経験の有無」や「資格の有無」で判断される可能性が高いです。
 
あなたが採用担当者の場合、
  • 資格欄が真っ白な履歴書
  • 資格がたくさん記入してある履歴書 
どちらのほうが、お仕事への意欲を感じますか? 
経験は実際に働かないと得られませんが、知識は意識して行動すれば、身につきます。資格はあなたの努力を示す、最も有用な手段です。

例えば面接において、「患者さんに対して、まずは人としてきちんと対応できるようビジネスマナーの資格を取得しました」と言えば、あなたのめざす医療事務像が相手に伝わりますし、成長するために時間と努力を惜しまない人材として評価されるでしょう。

進学先は、大学や短期大学の医療系や福祉系の学部・学科がオススメ!

医療事務をめざすなら、大学や短期大学への進学をおすすめします。
医療事務の知識を学ぶことだけでいえば、通信講座や専門学校など他の手段もありますが、「将来性のある」医療事務・医療秘書をめざすなら、大学や短期大学への進学が近道です。

なぜ大学・短期大学がいいのか。

さきほど、人間がAIに勝る「臨機応変な対応」の話をしました。
この臨機応変さを身につけるために、大学や短期大学での総合的な学びは大きく役立ちます。

大学や短期大学は、自ら履修科目を選択し、単位を修得していくシステムです。
医療に関する学習を進めつつ、一般教養を始め、専門分野以外の学びにも触れ、知識の幅を広げることができます。

医療機関と一口にいっても、その分野は多岐にわたります。
様々な情報を得ることで、医療事務・医療秘書のスキルを活かしつつ、別の医療機関に転職するなど、キャリアの選択の幅も広がるでしょう。

また、授業以外にも、大学・短期大学では実習に行くこともあります。実際の医療機関で実習経験をつむことも就職活動においては有利でしょう。
大学や短期大学にはサークル活動や、研究活動、それらを通じた学外のコミュニティーにも人間関係を作る機会がたくさんあります。
臨機応変に行動できる力とは、社交性・コミュニケーション力を磨くことにより、身につけられるのです。

世の中には、色々な考えの人がいます。思いやり・気遣いができる人もいれば、そうでない人もいます。

様々な人間性に触れ、あらゆる場面に対応できる。大学や短期大学は、そんな臨機応変さを身につけるには絶好の場所なのです。

在学中は、資格取得のチャンス!

大学や短期大学は基本的に、卒業まで2~4年間の在学期間があります。
何をするかは、あなたの計画次第ですが、真っ白な履歴書を、資格で埋まった履歴書に変えるには、またとないチャンス。
在学中に取得をおすすめする資格を、ご紹介しますね。 

 診療報酬請求事務能力認定試験
診療報酬請求事務能力認定試験とは、診療報酬請求の実務を正しく行うために必要な能力を認定する試験となっています。
医療保険事務担当者など、診療報酬明細書(レセプト)の作成に関する内容となっており、レセプト作成を求められる実技試験では現場を想定した実務能力も求められる、非常に難易度の高い試験です。

数ある医療保険事務資格の中で、唯一厚生労働省が認可している公的資格ということもあり、医療事務として就職をする際にはかなり高く評価されています。

 医療秘書技能検定
医療秘書としての専⾨知識と技能を認定するもので、医療秘書をめざす社会⼈や学⽣にとっては学習の⽬標の1つとなり、採⽤する医療機関においては志望者の習得レベルを判断する⽬安となります。
医療秘書として事務面における専門的な援助と、各部内の連絡調整を果たす専門知識と技能を認定する資格です。

 コンピュータ関連の資格
医療事務には、パソコンの操作は必須。
就職する医療機関によっては、パソコンを使っての事務作業がスムーズに行えるよう、基本ソフトの学習や、知識を深めておきましょう。

 秘書技能検定
受付業務は、人とのやり取りが基本です。
気遣いや思いやりはもちろんですが、人としての礼儀を身に着けておくことは、決して無駄にはなりません。
面接においても、マナーの行き届いた姿には、採用担当者の目も止まるはず。

ビジネスマナーを身につける上でおすすめしたいのが「秘書検定」の取得です。
人としての感じの良さだけでなく効率の良い仕事の仕方も問われる2級や、物事の判断力や対応力が求められる準1級などを取得することで、社会人として働く人なら備えておくべき基本的な常識を身につけることができますよ。

上記以外にも、調剤事務などの資格も勉強しておけば、更なるキャリア形成に役立つでしょう。

資格は将来の幅を広げるだけではなく、お給料にも関わってきます。
医療機関によりますが、有資格者は面接時の採用度を上げる他、収入面でも優遇されますので、ぜひ短期大学・大学在学中の2~4年の間に、役立つ資格の取得をめざしてみてくださいね。

まとめ

医療事務の将来性について、解説していきましたが、いかがでしたか?

現代日本の超高齢化により、お年寄りの数は増すばかりです。医療機関だけでなく、介護施設の需要も高まり、医療事務・医療秘書の働く現場が失われることはありません。AI技術の発展により、仕事が奪われる心配はないでしょう。

医療事務や医療秘書はコミュニケーション力が求められる業務が多数あります。電子化・機械化は進みつつも、AIがまだ成し得ない「臨機応変な対応力」を身につけることができれば十分、将来性のある職業と評価できます。

その他にも、ワークライフバランスが良く、雇用形態が「正社員」「パート」「派遣」とさまざまである理由から、女性にはとりわけ都合がよく、人気の職業です。

人気の求人はライバルが多く、希望のお仕事をつかむには「他の応募者との差別化」が要求されます。

大学や短期大学に行き、医療に関する知識を学びつつ、一般教養等も学ぶことで、「私はこんな分野も学びました!」とアピールすることができます。様々な活動を通じ、社交性を高め、臨機応変な対応ができる人材になれば、採用担当者にも「この人と一緒に働きたい!」と思われるでしょう。

ぜひ、将来性のある医療事務・医療秘書の仕事を手に入れるべく、プランを立ててみてくださいね。

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