保育士に向いている人
一般的に、保育士に向いていると言われているのは以下の6つの適性を持つ人です。
● 子どもが好き
● 責任感がある
● 体力がある
● コミュニケーション能力がある
● 忍耐力がある
● 計画性がある
では、これらの適性を持つ人がなぜ保育士に向いているのでしょうか?
それぞれ見ていきましょう。
子どもが好き
「子どもが好き」ということは、保育士にとって最も大切な資質です。
保育士になりたいと考えるほとんどの人の理由が「子どもが好き」というものでしょう。
幼い子供たちは素直で無邪気で、しぐさや表情もとてもかわいく感じられますね。
しかし、子どもは幼いがゆえに失敗も多くしますし、時には残酷に感じられるような行動もとるものです。
そのような場面に遭遇した際に、きちんと向き合い、必要であればしっかりと指導をしなければなりません。
指導を受けた子どもは泣いたり、あなたが傷つくような言葉を投げ返してくるかもしれません。
それでも「子どもが好き」と思える人は、きっとこの適性があると言えます。
また、保育士の仕事はただ子どもと遊んで過ごすだけではありません。
保育士は子どもだけでなく、時には保護者にもしっかりとアドバイスをする事が必要となります。
このことについては次項目の「責任感がある」でお伝えします。
責任感がある
保育士には強い責任感も必要になります。
保育士は児童福祉法第18条において、「専門的知識及び技術をもって、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者」とされています。
つまり、子どもの心身を健全に発達させるように教育し、保護者にもその方法について指導する専門職ということです。
子どもの良い部分を十分に褒めて伸ばしてあげる事は保育士にとってとても大切なことです。
しかし、ただ褒めるだけではなく、保育士は悪いことをした場合にはきちんと子どもを叱らなければなりません。
さらに、子どもだけでなく保護者にもしっかりとアドバイスできる強い責任感が保育士には必要なのです。
誰かを叱るということは、叱る側にとっても非常に心に負担がかかるものです。
子どもは素直なので、叱られたことで泣いてしまったり、嫌な態度や言葉を投げられることは珍しくありません。
保護者に子どものネガティブな情報を伝える際にも、不機嫌な態度をとられることもあるでしょう。
しかし、そのような態度をされるのが嫌だから、良い事しか伝えないという事では、良い保育士とは言えないでしょう。
保護者や子どもに必要な指導や情報を伝えないことは保育士の職務を放棄する、無責任な行為と言えます。
時に厳しくとも、子どもの成長を見守り、指導できる強い責任感を持ち続ける事が保育士には必要と言えるでしょう。
また、多くの子どもを預かる環境の中で、保育士は地震や大雨などの自然災害について常に想定していなければなりません。
それだけでなく、近年では園内に不審者が侵入する事件なども増えており、このような状況に陥ったときに保育士は身を挺して子どもの安全を守らなければなりません。
自分自身も恐怖を感じているときに、子どもを守るために最前線に立つということは「強い責任感」なしにはできないことでしょう。
体力がある
保育士になり、勤め続けるためには、体力があることも非常に大切です。
実は、健康上の理由で保育士を退職する人も少なくありません。
令和元年5月に東京都福祉保健局の発表した「東京都保育士実態調査報告書」によると、20.6%の人が健康上の理由(体力含む)で退職をしています。
保育士は子どもと一緒に鬼ごっこで走り回ったり、子どもの体力づくりや運動不足解消のためにドッジボールやサッカーなどを行うこともよくあります。
このように、保育士の日々の業務は非常にハードです。
女性だけの職場も決して少なくないので、女性であっても重たいものを持ったり、高いところでの作業を行うことが多くあります。
また、園児は年長学年になると20㎏前後になる子も少なくありません。
そのような子どもたちを抱っこしたり、おんぶすることも決して珍しくありません。
特に保育士になりたての若いうちは、重い荷物を持つことや高所での作業を任されることも多くあります。
体力が無くては日常の業務をこなすことさえ難しいでしょう。
さらに、保育の現場では1年を通じて新型コロナウィルスやインフルエンザをはじめ、プール熱、手足口病、ノロウィルスなど様々な感染症が流行ります。
体力が落ちていると、このような感染症になるリスクが高くなってしまいます。
感染症にかかると自分が休むだけでなく、園児への感染リスクや他の先生への業務上の負担など、様々な影響があります。
このような理由からも、保育士は「体力がしっかりある人」が向いているでしょう。
コミュニケーション能力がある
実は、保育士には高いコミュニケーション能力が必要です。
保育士は子どもと接する仕事ではありますが、子どもだけに接しているわけではありません。
子どもを通して、保護者や他の先生ともしっかりとコミュニケーションをとる必要があります。
子どもには話がきちんと伝わるように、子どもの立場に立ってわかりやすく話をする必要があります。
子どもがきちんと理解できるように話をすることは保育士にとって最も基本的なコミュニケーション能力となります。
対して、保護者や他の先生には子どものポジティブな情報だけでなく、時にはけんかや他の子にケガをさせてしまったことなど、ネガティブな情報も事実としてしっかりと伝えなくてはなりません。
さらに、ただ事実だけを伝えるのではなく、子どもや保護者の気持ちを尊重し、なるべく誤解や不満を生まない言い方に工夫する必要もあります。
そのため、保育士は常に誠実に、子どもと保護者とコミュニケーションを取って信頼関係を築いていく事が大切です。
ネガティブな情報を伝えられた場合でも、保育士と保護者の間にしっかりと信頼関係を築けていれば、保護者は素直に聞き入れることができるからです。
また、コミュニケーション能力は仕事を円滑に進めるためにも大切です。
保育士として仕事をしていくと、様々な問題に直面します。
このような時に、コミュニケーション能力が高い人は同僚や先輩に相談し、サポートしてもらったりすることで、問題を解決することができます。
さらに、同僚や後輩が思い悩んでいるときにも、それに気づき、相談に乗ったり、アドバイスしてあげることもできるでしょう。
その結果、園内全体での問題がスムーズに解決できやすくなります。
近年は近隣の地域住民とのトラブルの声もよく聞かれます。
運動会などのイベントの開催や保護者の送迎マナーについて、地域住民から苦情を受けることが少なくありません。
このようなトラブルが起こった場合にも、保育士は自分の説明や態度によって、地域住民が不満を大きくしないよう、理解や解決に向かえるような立ち回りをする必要があります。
毎日接している保育士の姿は子どもにとって、一番身近なお手本です。
元気に挨拶や話ができるコミュニケーション能力の高い保育士は、それだけで集団生活を送るのに必要なコミュニケーション能力を学ぶ良いお手本になることができます。
このように、保育士は常に様々な人と関わる仕事であるため、「高いコミュニケーション能力」が必要となります。
忍耐力がある
辛いことや苦しいことでも耐えられる、忍耐力を持つ事も保育士にとっては大切です。
子どもや保護者へのネガティブな話により返される反応も、忍耐力がなければきっと嫌になってしまうでしょう。
それだけではなく、「子どもが好き」という気持ちで志した保育士でも、続けていく中で必ず苦しいことや辛いことにぶつかります。
このような苦労はどのような仕事にもつきものですが、好きで目指したはずの仕事が辛くなると「こんなはずじゃなかった」、「思っていたのと違う」という気持ちがさらに強くなってしまうものです。
保育士は本当にたくさんの人を相手に仕事をします。
接する相手が多いほど、問題やトラブルは起こりやすくなるものです。
子どもは大人が指示した通りに動いてくれないのは当たり前ですし、毎日のように注意や指導をしても同じ失敗を繰り返します。
一人の問題や課題が解決してもまた別の子が、というように常に問題や課題を抱える子どもは絶えません。
そして、そのような子は一人だけでなく複数いることがほとんどでしょう。
子どもだけが悩みの種とは限りません。
保護者や近隣住民とのトラブル、先生同士の人間関係など、大人同士の人間関係がうまくいかなくなることもあるはずです。
そのような問題に直面した時、すぐに諦めて投げてしまうことは保育士にとって非常に大切な信頼関係を崩すことにつながります。
だからこそ、問題が起こったときにそれに根気強く向き合い、失敗しながらも解決策を探していける「忍耐力」が保育士には必要になるのです。
計画性がある
しっかりした計画性を持つことも、保育士にとって必要な資質です。
保育士になると担任として1年間、一つのクラスを受け持つ場合が多いです。
そしてこの担任したクラスを、1年間をかけてもう一つ上の学年にするための成長をサポートするという役目があり、これには長期的な計画性が必要になります。
クラスの年齢や子どもの発達段階に沿って、日々の活動にねらいや目的を定め、子どもたちがその目的をクリアできるように長期的に指導していくのです。
子どもは指導したことを次の日にできる事もあれば、数か月同じことを言ってもできないという事も多々あります。
このような性格や成長も様々な子どもたちに対して、年間を通して目標とするところまで成長を促すことが保育士には求められています。
このため、保育士には先を見据えて指導計画を立てられる「計画性を持つ」ことが必要なのです。